おふざけキャンプ

キャンプの事で頭がいっぱい

キャンプ世界の童話【赤ピルツちゃん(後編)】

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前回の続きです。

前回のお話をまだ読んでない人はこちらからどうぞ。
rakujirou.hatenablog.com


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後編

スキレットのスモアを一口で食べてしまった大女将。
せっかくお母さんが作ってくれたのに台無しです。


しかし

なんだか大女将の様子が変です。

どうやら冷めたスモアを口いっぱいに頬張った事で、スモアが喉に詰まってしまった様です。

大女将
『うゔ…。』

『オヴェ〜。』


赤ピルツちゃん
「ふっふっふっ。」
「大女将だか誰だか知らないが、あなたがおばあさんじゃないなんて、そんな事はお見通しだ!」

「私は赤ピルツちゃん。
ワンポールの様に一本筋が通っている女の子さ!」

「冷めたスモアをそんなに食べれば詰まるに決まってるでしょ?
騙されたフリをして質問する事で時間をかせぎ、冷めたスモアをワザと食べさせたんだよ。」


大女将は苦しそうです。

このままでは大女将が窒息してしまいます。


そこに、狩人がやってきました。

狩人
『大変だ!大女将が死んでしまう。』

狩人は持っていたファイヤブラスターを大女将の口に突っ込んで、詰まっているスモアを吸い込みました。

ジュルジュルと音を立ててスモアが吸われていきました。



大女将
『ゲホッ..』
『た、助かった…。』

『な、なぜ私がおばあさんじゃないって気付いたんだ…。』


赤ピルツちゃん
「だって、靴がちがうから。」

大女将
『靴?』

『靴もちゃんとPatagoniaを履いているじゃないか。』
『だって、今日はたまたまPatagoniaの靴を履いていたんだから…。』


確かに大女将はPatagoniaの靴を履いていました。


赤ピルツちゃん
「それよ!おばあさんはシャツもパンツもPatagoniaだけど、靴だけPatagoniaじゃないのよ。」
「ノーゴニアよ。」


「Patagoniaはもうシューズの製造を辞めたのよ。」
「今ではもうほとんど売っていないわ。」

「だからPatagoniaのシューズを履いている時点であなたは偽物ってわけ。」
「ニセゴニアって事よ。」


大女将
『そんな…。』
パタゴニアがもう靴を作っていないなんて…。』


赤ピルツちゃん
「それとおばあさんが言うには、足元は格安のサンダルで外しを入れるってのがオシャレなんだってさ。」

「昭和の感性は分かんないけどね。」


大女将
『はじめから気付かれていたとは…。完敗じゃ。』


赤ピルツちゃん
「あなたがキャンプのマナー違反を憎む気持ちは分かるわ。」

「だけど、それに対してキャンプ場で嫌がらせをしてたらその人達と同じじゃないの!」

「いや、ワザとやってる時点でマナー違反以下よ。」


大女将
『だって…。』
『キャンプブームが来る前は、こんなにマナー違反なんてなかったんだ。』
『そんな奴らは来なきゃいいって思って当たり前だろ?』


赤ピルツちゃん
「いいこと?」
「キャンプを始めたばかりの人はキャンプのマナーの重要性を知らないだけなの。」


大女将
『そんなはずはない!知ってるはずだよ!』

『これだけブームなんだし、ちゃんとホームページにも書いているんだから!奴らはマナー違反だと分かってやってるんだよ!』


赤ピルツちゃん
「だから言ってるじゃない。」
「キャンプのマナー自体は知ってるのよ。」
「その重要性を知らないの!」

大女将
『重要性?』


赤ピルツちゃん
「確かに、至る所でキャンプのマナーについて言われているから知ってはいる。」

「でも、それを守らなかったらどうなるのかまで想像できないのよ。」

「キャンプで浮かれてしまって、少しくらい夜中に騒いでもいいだろう、とか。」

「慣れないキャンプで時間に追われてて、少しくらい流し台にゴミを流しちゃってもいいだろう、とかね。」

「キャンプ場は静かだから少しの話し声でも気になることや、少しずつのゴミで流し台が詰まってしまうことが想像できないのよ。」



大女将
『そんなの勝手じゃないか!』

『自分の家とは違う事くらい分かるだろ!』


赤ピルツちゃん
「そう。勝手なの。だから良くないわ。」

「でも、何回もキャンプをしていくうちに、自分も逆の立場を経験してマナーの重要性に気付いていくはずなの。」

大女将
『逆の立場を経験して…。』


赤ピルツちゃん
「まあ、私がスキレットを持って走っていたのは悪かったわ。」

「確かに人にぶつかったら危ないものね。逆の立場になって考えると、スキレット持って走ってる人がぶつかってきたらブン殴るかもね。」

「キャンプ場だから良いかなって甘く考えてた所もあったから反省するわ。」

「悪いと思ったら反省する!」

「だって、私は赤ピルツちゃん。ワンポールの様に一本筋が通っている女の子だから!」


大女将
『は、はぁ…。』


赤ピルツちゃん
「そりゃ、中にはホントのにわかキャンパーもいて、ブームだからってウェイウェイやりたいだけの人もいる。」

「その人達は言っても聞かないし、キャンプ場じゃなくてもマナーなんて守らない。」

「でも、そんな人達はほうっておいてもそのうちSNSが炎上したり、内定が取り消されたり、波物語だったりして、社会的に抹殺されるからいいのよ。」

「どうせすぐに飽きてキャンプしなくなるから。」

「あなたが報復してもしなくても同じ。」

「時間の問題よ。」


狩人
『まあ、、そうだな。』


赤ピルツちゃん
ホットサンドメーカーだって、そのうち誰も使わなくなるわよ。」

狩人
『お、おう…。』


大女将
『そ、そうね。』
『確かに、こんな嫌がらせをしてたって、キャンパーのマナーが良くなるわけじゃないわね。』


赤ピルツちゃん
「そうよ。マナー違反を無くしたいなら、キャンプ場にしかできない事があるんじゃないの?」

「せっかくブームでたくさんお客さんがくるんだから、マナーを伝える努力をすれば良いでしょ?」

「伝えてあげても守らない人達には帰ってもらえば良いじゃない。」  

「キャンプ場から言っても聞かないときには、さっさと警察を呼べばいいのよ。」

「それか力也。もしくは竹内力。」

大女将
『そうね。力也か力ね。』
『結局は力がモノを言う世界だものね。』

『これからはそうするわ。』



そうこうするうちに、おばあさんがバンガローから出てきました。


おばあさん
『今誰か、竹内力って言わなかったかい?』
『力さんがいるのかい?』

『おや?なんだ、まきこじゃないか。』
『この人達は誰だい?』

(私は何でバンガローで寝てたんだろう?)


赤ピルツちゃん
「あ、おばあさん。」
「大丈夫?」


おばあさん
『何だか頭や肩の辺りが痛いんだけど…。竹内力の仕業かい?』

『ん?』

『あれ?私は何で服を着てないんだい?』

『おや?その服は私のパタゴニャーじゃないか!』

おばあさんは大女将が履いているパンツと脱ぎ捨てたTシャツを見て言いました。


赤ピルツちゃん
パタゴニアね。」


おばあさん
『返せ!私のパタゴニャャー』

そう言うと、おばあさんは大女将に襲いかかりました。


大女将
『ひぇー』

おばあさんは大女将からパタゴニアを剥ぎ取りました。
ハギトリアです。


おばあさん
『コレは私のてーしゃつ』

『コレは私のズボン。』

『そして、コレも私の靴じゃ!』


大女将
『それは違う・・・。』


赤ピルツちゃん
「まあ、気絶させたんだから、それくらいは慰謝料としてもらっておいても良いかもね。」


大女将
「そんなぁ〜。」
「もう買えないのに・・・。」
 

おばあさん
『よっしゃ〜!パタにゃニアの靴、ゲットー!!』

『コレで完全体じゃ〜!』

『フルゴニアじゃ〜!』


おしまい。


筆者あとがき

久しぶりに書いた【キャンプ世界の童話】でした。
実はコレ、書き始めたのは1年くらい前で、ずっと放置してたものです。

コロナが収まらずにキャンプに行けない日々を過ごす中、ふと、書きかけだった【赤ずきん】を思い出したので続きを書いたんです。


なぜ思い出したのかって?

だって、コロナ禍がなかなか明けないじゃないですか。

明けないコロナ禍…

明かずコロナ…

あかず菌

赤ずきん!!


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