おふざけキャンプ

キャンプの事で頭がいっぱい

知内浜オートキャンプ場レポ【湖畔でハンモックに揺られた男の話】

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(注意)今回の『おふざけキャンプ】は作者の気まぐれにより、いつもとは趣向を変えてお送りします。

プロローグ『ハンモック』

それにしても天気が良い。

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目の前に広がる琵琶湖。

周りには誰も居ない。

最高だ。

私は平日に一人、琵琶湖の湖畔でハンモックに揺られていたのだ。


神の意思に従っただけの男

5月25日 

いつもの時間に目覚まし時計が嫌な音を立てる。

自分でセットしたにもかかわらずイライラする。

仕事へ向かう準備をした。


火曜日だった。

いったい火曜日のどこが【火】なんだ。週の2日目に燃え盛る火の要素なんて何もない。

火曜日にしてすでに燃えカスとなりつつある私は憂鬱な気分で仕事に向かう。


今日もいつもと同じ毎日。
長時間通勤電車に揺られ、いつもと同じ仕事をして、また長時間電車に揺られて帰ってくる。

そのはずだった。

「こんな晴れた日にはキャンプに行きたい。」
私はボソボソと呟いた。

何気なく呟いただけだった。

暑くもなく、寒くもない、穏やかな日差し。

まさに、キャンプの神様が用意したかのようなキャンプ日和だったからだ。


【行けばいいじゃん。】

(えっ?誰?)

【行きたかったら行けばいいじゃん。】


確かに聞こえる。

これは…

神の声に違いない。


キャンパーならばこれに逆らうことはできない。
だって、きっとキャンプの神の声なのだから。


そこからの準備は早かった。

電話をして仕事を休んだ。

職場には「すいません。今日と明日休みます。」とだけ伝えた。
有給休暇を取るのに理由を言う必要はないし、『キャンプの神が…』などと言ったら、無駄に職場がザワつくだけだ。


すぐに前から行ってみたかったキャンプ場を予約した。


大急ぎで荷物を準備した。

キャンプ飯のレシピ本をめくり、夜と翌朝のメニューを考えた。

時々顔がニヤける。

メモ帳に必要な食材を書き出し、車に乗り込んで琵琶湖に向かった。

頭痛

少し頭が痛い。

意気揚々と車に乗り込んだものの、頭痛がするような気がする。

ズンズンと鈍い感じ。

こんなご時世だ。体調が悪いならばキャンプに行くべきではない。

だが、少し頭が痛いだけで他に不調はない。


迷った。

帰るべきかもしれない…。

ただ、今回はキャンプの神のお告げによるキャンプだ。
神の御加護があるはず。体調が悪くなるなんてある訳がない。

もしもこれ以上体調が悪くなるようなら中止して帰ればいい。

とにかく向かってみようと決めた。

管理棟

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2時間ほどで目的地の【知内浜オートキャンプ場】に到着した。


管理棟の入口に自動で体温測定できる機械が置いてあった。
画面に顔を近づけると体温が表示されるが、大抵は思ったよりも低く出るアレだ。


測ってみた。

『ビー!ビー!ビー!ビー!』

けたたましい警告音が鳴り、画面が赤く光る。
表示された体温は40度。

(えっ?40度?そんなに?)

頭はもう痛くなかった。
ひょっとして、かなり悪化して感覚が麻痺しているのか?


でも何ともない気がするけど…。

「す、すみませーん!」
受付の人に声をかけた。

「あの、コレ40度って出たんですけど・・・。」

『ああ、それね。日なたに置いておくと出ちゃうんだよ。』

(じゃあ、意味ないじゃん。)

そんなわけで、何事もなくチェックイン。

料金はソロキャンプ割引でも4,000円。

かなり高い。

普段からサイト代金を気にする方ではないが、そんな私でも高過ぎると思う。

ただ、今回は特別だ。

【お金で買えない価値】をお金で買えるなら安いものだと考えよう。

いや、お金で買えない価値を買うというのはおかしいのではないか?買えないのに買うとは何だろう。

お金で買えないのに安いというのもおかしい。


忘れよう。忘れるのは得意だ。


サイトにて

人気の【北浜サイト】を希望した。
ここは目の前が琵琶湖という絶好のロケーションだ。

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ネイチャートーンズのサイドアップボックス&テーブルだけを車から降ろし、まずは昼ご飯だ。

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仕事へ行く予定だったため、用意してあった弁当を食べた。 

いつもは職場で一人寂しく食べている弁当も、場所が違えばこんなにも気分がいいものか。

しかも、時間を気にせずにゆっくりと昼食を取れるとは、なんて贅沢な時間だろうか。

自由だ。

今の私は、まるで老夫婦に飼われているチワワ並みに自由なのだ。

謎の老人

(さて、昼飯も食ったし何しようか…。設営なんていつでもできるしな…。)

そう思っていた私に、一人の老人が近づいてきた。

歳は70代だろうか?【お爺さん】と言って間違いない年齢だった。

ゲートボールがよく似合い、藤あや子をこよなく愛していそうな感じだった。

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(画像はイメージです。)


私は身構えた。
こんなご時世だ。県外ナンバーを見て文句を言われるのではないか?


『一人?』
お爺さんが声をかけてきた。

「ええ。」
私は答える。


『今日はここで寝るの?』

「はい。そうですけど。」

『私ねぇ。今日あっちの方で朝から釣りしてたんだけどね、今からどうしようかと思って。』

「はぁ。」

『私もテントは持ってるんだよ。ここのキャンプ場は一泊いくらなの?』

「ソロだと4,000円です。」

『高いな』

「そうですね。」

『あんた、お酒飲む人?』

『夜、一緒にどう?』

「僕、あまりお酒は飲まないんで。」

『じゃあ、隣で一人で飲んでても悪いかなぁ?』

「あの、一人になりたくて来たんで。すみません。」

『はははっ。ああ、そっかそっか。』

笑いながら老人は去って行った。


どうやら飲み仲間を探していたようだ。

ほぼ初めてのソロキャンプ。
見知らぬ人と飲み明かすのも悪くはない。

でも、こんなご時世だからハッキリとお断りした。


いや嘘だ。こんなご時世じゃなくても断るだろう。

そもそも普段から昼ご飯を一人で食べてるような私が見知らぬ人と楽しく過ごせる訳がない。

私は人見知りだし友達もいないのだ。


それにしても、まさかあの年齢でソロキャンパーだとは思わなかった。

【キャンプに年齢は関係ない。】
常日頃からそう思っていたはずだった。

しかし、どこかで高齢のソロキャンパーなんていないと思い込んでいた自分がいたのだ。

私は軽いショックを覚えた。

それは、アフリカに野生のラクダがほとんどいないのを知った時の感覚に似ていた。

設営

(ハンモックでも出そうか。)

とりあえず、ハンモックだけ設置してビールを飲んだ。

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テントとタープを両方設営するのが面倒なので、ケシュアのリビングタープのみにした。

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最近買ったシェルフコンテナや、くるりんぱストレージボックスなどの箱物を降ろすだけでほぼ設営が終わる。

あっという間だ。

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ソロにしては荷物が多いが、設営時間は普通のソロ並みだなと一人納得する。

突然の電話


やる事がない。

ハンモックでウトウトしていた。 

やる事がないのも良いものだ。

いつものキャンプなら、設営が終わると子供と遊んだり、犬を散歩に連れて行ったりと、ゆっくりくつろぐ事なんてなかった。  

あまりにもゆっくりする事ができなくて、『イスを捨てようか』と真剣に悩んだ時期もあったが、こんな日が来るとはと感慨深い。


ソロキャンの人は毎回こうなのか。

極めて贅沢な時間だ。
しかも、平日に仕事を休んでキャンプをしている。

優越感と罪悪感を交互に味わう。

気持ちの揺れにシンクロするようにハンモックが左右に緩く揺れる。

何とも不思議な感覚だが悪くない。



突然、机の上の電話のバイブが震えた。
   
夢見ごごちの時間から一瞬で現実に引き戻される。

(ヤバい。職場からか?何かトラブルでもあったのかもしれない…。)

私は恐る恐る電話に出た。



後編へ続く。

rakujirou.hatenablog.com


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今回の記事だけ見たら『なんだかイキったブログだな』って思われそうですが、普段は【少しだけくだけた記事】を書いてるので、そちらもよろしくお願いします。


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