続:学ぼう!キャンプ憲法(第二限目)
皆さん、こんにちは。講師のシバラレールです。
前回の講義が一部地域で好評な事に驚いています。
前回の復習がまだの人はこちらからどうぞ。
rakujirou.hatenablog.com
それではさっそく後半の条文についての講義を行います。
教科書92ページからです。
教科書がない人はオートキャンプ場ガイドでも開いておいてください。
第六条 生存権
すべてキャンパーは、健康で文化的な最低限度のキャンプを営む権利を有する。
私も所属するキャンプ学会では、この条文の『健康で文化的な最低限度』が何を意味するのかについて様々な説が提唱されています。
通説は【少なくとも月に一回はキャンプをすることをいう】としていますが、私は違います。
回数だけで良いのでしょうか?
その一回が雨ばかりだったら健康的なキャンプと言えますか?
(雨キャンプばかりでおかしくなった人)
新しくギアを買ったばかりの人がすぐにキャンプに行けなくても文化的な最低限度と言えますか?
様々な事情に応じて、きめ細やかな対応をしていくためには、詳細な社会保障を法律で定めるべきだと考えています。
皆さんも、今後の国会の動きに注目してください。
キャンパーの事はキャンパー自らの手で決めていくのです。
有名な言葉で
【あなたの貴重なペグをどこに打ち込むか、それはあなた自身が決めることだ。】というものがありますが、まさにその通りですね。
なお、この言葉を言ったのは、キャンプ民権運動の父と言われる【板垣退助】です。
(お札にもなった数少ないキャンパーの一人です。髭がガイロープ を意識しているのがオシャレですよね。)
板垣退助と言えば、暗殺未遂事件の際に「板垣死すともキャンプは死せず ランタンに灯る自由の炎は決して消えない。」の言葉で有名ですね。
ちなみに、この言葉を聞いた当時の人々は一瞬感動しましたが、事件の翌年に当たる1893年にドイツで灯油ランタンのオリジナルブランドFEUERHAND(フュアハンド)が誕生し、人々は本当に嵐の中でも消えないハリケーンランタンの方に夢中になっていたそうです。
板垣退助、なんか可哀想ですね。
第七条 勤労の義務
すべてキャンパーは、勤労の権利を有し、義務を負ふ。
【義務】と聞くと、嫌なイメージがありますよね。
確かに、権利の対義語は義務です。
権利を主張するには義務が伴うものです。
ただ、この条文を【キャンパーも働かないといけない】と消極的に捉える必要はありません。
私はこの条文を積極的に捉えています。
この条文は【ちゃんと義務を履行した者は、『働いているんだからキャンプくらい好きにしても良いだろ!』と言う権利がある】ということを保障しているのです。
【週5で仕事したらキャンプに行ける】という想いで毎週乗り切り、週末は浮かれるのです。
(華金に浮かれる夫婦)
第八条 自白強要の禁止と自白の証拠能力の限界
何人も、ポチったキャンプギアが送達された際に、家族から自己に不利益な供述を強要されない。
2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、キャンプ禁止とされ、又は不当な家事を科せられない。
家族と同居しているキャンパーにとって重要な条項となっています。
家族に内緒でギアをポチることってあるじゃないですか。
本来ならちゃんと相談するべきだから、確かに良い事ではありませんね。
後で頃合いを見て言おうと思っていたのに、予定より速く、自分の留守中に荷物が届いてしまって焦るって事、よくありますよね。
(仕事から帰ったらAmazonでポチったギアが届いていて、それを妻が眺めている様子を描いた絵画 邦名『コレ何?』)
でも、誰もが聖人君子じゃないんです。
やってしまう事はあります。
勝手にポチったのは誰の目にも明らか。
この条文はそんな時でも【しらばっくれる権利】を保障しているのです。
(責め立てる妻 しらばっくれる夫:イメージ画)
また、2項、3項では、長期間の家庭内尋問による自白の証拠能力を否定し、仮に自白した場合でも、それだけでは罪に問われない事を規定しています。
(昭和初期の一般的な家庭内尋問の様子)
尋問による自白だけでは冤罪を産む危険性がありますからね。
第九条 費用の支出及び債務負担の要件
キャンプ費を支出し、又はキャンプギアの支払い債務を負担するには、脳内の議決にのみ基く。
先程の第八条を補完する条文です。
世の中には、悲しいかな、非キャンパーの家族を持っている方もいます。
この条項は、非キャンパー達が法律で“キャンプ費の支出の際に家族の了承を必要とする”と定める事を明確に禁止しているのです。
(平成初期、非キャンパー達による法律制定を求める運動:通称【勝手に買うな運動】)
この条文のおかげで、各キャンパーは、自分の頭の中の脳内議決さえ得ればキャンプ費用を支出して良いことになります。
「使った事がないギア」や、「やった事がないアクティビティの道具」を買うのには、家族の了承は得られにくいもの。
たとえ勝手に買ったとしても、ちゃんと使えたり、楽しく遊べるなら事後承認が得られるはずなんです。
キャンパーだって馬鹿じゃない。
際限なくお金使う人なんていませんよね?
新しいギアが出たり、流行っているアクティビティだからって、考えもせずに飛びつくわけじゃないはずです。
そうですよね?ね?
(最新のアクティビティ『棍棒ジャンプ』に興じる男性達)
これはグルキャンでやったら盛り上がる事間違いなしの最新アクティビティ『棍棒ジャンプ』です。
棍棒があればどこでもできるのでお手軽だし、あまり費用がかからないのでオススメです。
スラックライン、SUP、モルックの次はこれで間違いなし!
第十条 予備費の支出
予見し難いキャンプ費用の不足に充てるため、予備費を設け、支出することができる。
キャンプって思ったよりお金がかかりますよね?
キャンプ場ではサイト代以外にも、薪代、ゴミ処理代、アクティビティ代がかかるし、
キャンプ場までの高速道路代、ガソリン代も馬鹿になりません。
キャンプ費用は月にコレくらい、と決めておいてもどうしてもオーバーしてしまいますよね。
特に、【欲しかったけど入荷待ちだったギア】が急に売ってるのを発見したときなんて、どうしようもないじゃないですか?
そんな時のためにこの条項は、予備費を設けること、そしてさらに、ためらわずに買えるように支出についてもちゃんと規定してくれているのです。
私はこの条文が一番好きなんです。
本当にキャンプ憲法ってキャンパーの事を考えて作られているなぁと感心します。
アメリカGHQによる押し付け憲法と揶揄される事もありますが、この条文を見ると、戦後日本のキャンパー達が自ら制定したのだと思えてなりません。
日本人はどうしても、『ルールだから』『決まっているから』と、一度決めた事を変更するのを嫌ったり、予定通り行かない事を嫌がる気質があります。
でも、キャンプって思い通りにいかないもんじゃないですか?
失敗するのが当たり前ですよね?
かのアインシュタインも言ってます。
"失敗したことのない人間というのは、キャンプをしたことのない人間である。知らんけど。"って。
大事なのって失敗にめげずに、臨機応変に対応する力だと思うんです。
この条文は、キャンプの本質を予備費という財政的な観点から教えてくれているんだと思います。
思い通りにいかないのが当たり前、対応を準備しておくのが大事だと教えてくれているのではないでしょうか?
こんな点からも、アメリカ人とは違う日本人の国民性をちゃんと理解した上で、しっかりと議論して作られた憲法だと思うわけです。
最後に
さて、コレで全てのキャンプ憲法の条文についての解説が終わりました。
駆け足でお伝えしたため、キャンプ憲法の大筋のみとなりましたが、キャンプをする上で大事な点は伝えられたと思います。
あとは、日々、ご自身でキャンプ憲法について学んでいく事がキャンパーの務めです。
それでは良いキャンプライフを。
Have a nice camp