キャンプ 世界の童話 大きなカブ①
【大きなカブ】
大きなペグ
ある家族が、祖父母を連れて、オートキャンプに来ていました。
おじいさんは、初めてのキャンプで、かなりテンションが上がっていました。
おじいさん『この歳でキャンプデビューなんて、オラ、ワクワクすっぞ!』
おじいさんは、最近、芸人の"アイデンティティー"にハマっていました。
父『さて、やっとキャンプ場に着いたぞ。早速設営しよう。』
設営を始めた父母。
5歳になる子供の面倒を見ているおばあさん。
おじいさんは、初めてのキャンプ場に興奮し、ウロウロと散策していました。
おじいさん『おや、これは何だろう?』
おじいさんが、サイトの通路近くで、何かを見つけた様です。
父『あぁ、それはペグだな。』
おじいさん『これが・・・。犬には見えんが・・・』
父『それはパグだろ!ペグだよ。ペグ!』
おじいさん『分かっとるわい!ボケてみただけだろうが!』
『お前は子供の頃から冗談が通じないつまらない奴だのう。』
『ノリツッコミを期待したワシが馬鹿じゃった。』
『ばあさん、手本を見せてやれ!』
おばあさん『そうそう、私が大好きだった韓流ドラマで大ブレークしたメガネの似合う、あの俳優さんね。』
おじいさん『そりゃ、ぺ・ヨンジュンじゃろが!!』
『ぺ、しか合っとらんじゃないかい!!』
『しかし、流石、ばあさん。すんなり返さんのぉ。』
おじいさんと、おばあさんは、したり顔でした。
父『それはそれとして、そのペグは、前にこのサイトを使った人が抜き忘れた物だから、おじいさん抜いておいてくれ。』
『子供が足を引っ掛けると危ないからな。』
おじいさん『そうか、じゃあ、ワシが責任を持って抜いておくとしよう。』
『このキャンプ場内の、ペグというペグは全て抜いて、お前が帰ってきたときには、キャンパー達から、ペグ抜きマスターと呼ばれておるわい。』
父『いや、それをやったら、妖怪ペグ抜きが現れたって騒ぎになるわ。抜くのは1本だけでいいから。』
おじいさん『じゃあ、もし抜けなかったら、お前が大事に育てていた、オピネルナイフで切腹したるわい!』
父『やめろ!やっとの事で、いい色あいになったのに、使えなくなるわ!』
おじいさん『どうせ手入れだけして使ってないじゃないか。』
父『うぅ・・・。何でそんな事知ってるんだ。』
『いいんだよ!ここぞってとき使うんだから。』
おじいさん『だから、ワシの切腹が、ここぞ、って時じゃろうが!』
父『うるさい!黙って抜けよ!』
そんなこんなで、
おじいさんは、ペグを抜くことになりました。
おじいさん『さて、コレ、どうやって抜くんじゃ?』
『頭の先がギリギリ見えるだけじゃぞ。』
『ギリギリガールズとは違って、本当にギリギリじゃ。』
『とりあえず、つまんで引っ張ればいいのか?』
うんとこしょ
どっこいしょ
それでもペグは抜けません。
ペグは、地面にズッポリと深く刺さっていました。
おじいさんがつまんで引っ張ったところで、びくともしません。
おじいさん『こいつ、やるな・・・。ワシに本気を出せという事か?』
『ワシが本気を出したのは、 初代ドラクエの竜王との戦い以来じゃ。』
『世界の半分を手に入れたワシを本気にさせるとは・・・。舐めてかかると、こっちがやられるわい!』
しかし、おじいさんの本気でも、ペグはウンともスンともいいません。
父『おい、じいさん。俺は今から管理棟に薪を買いに行ってくるから、帰って来るまでに抜いといてよ。』
おじいさん『お、おぉ。分かった。大丈夫じゃ。いや、ダイジョウブイじゃ。』
そうは言ったものの、おじいさんがいくら頑張っても、ペグはビクともしません。
おじいさんが途方に暮れて、パプリカダンスを踊っていると、
一人のキャンパーが声をかけてきました。
キャンパー①『おじいさん、どうしたんですか?』
おじいさん『いや、ペグが抜けなくてね。』
キャンパー①『ペグを抜くときは、これを使うと良いですよ。』
キャンパーは、そういうと、何やら取っ手の付いた器具を、おじいさんに手渡しました。
キャンパー①『コレは、ペグリムーバーという、ペグを抜くための器具さ。』
『さぁ、それを使って抜いてみるといいよ。』
おじいさんは、やってみました。
うんとこしょ
どっこいしょ。
それでもペグは抜けません。
おじいさん『何だこりゃ、全然ダメじゃないか。』
『ワシがキャンプ初心者だからって、偉そうにアドバイスしおって。』
『どうせお前も素人キャンパーじゃろ。』
キャンパー①『そりゃ、ベテランとは言えないけど、普通はそれで抜けるんだよ。』
『親切で言っただけなのに・・・。そこまで言わなくても。』
キャンパー①は泣き出しました。
すると、
????『アハハハハハハ、そんなんじゃダメさ!』
どこからか、笑い声が聞こえてきました。
そこに現れたのは・・・
つづく➡
※本作は、カブじゃなくてペグの話です。
カブマニアの方の期待を裏切ってしまった事を、ここに深くお詫び申し上げます。
『カブには興味はないからイイヨ!』って方は、続きをご覧ください。