キャンプ世界の童話 シンデレラ
シンデレラ
あるところに、シンデレラという、キャンプ好きの女の子がいました。
シンデレラは、早くに母を亡くし、再婚した父親は、流行りの軽キャンピングカーを買って日本一周の旅に出かけたまま戻らないので、
今は、意地悪な継母と二人の義理の姉と暮らしていました。
シンデレラ『あ〜あ、キャンプに行きたいな〜。』
『先月の"ふもとっぱら"からキャンプに行ってないし、そろそろキャンプ行きたい病が発症するっつうの。』
『そろそろって、言えば、ソロキャンプにも行ってみたいなぁ。』
『なんて、キャンプダジャレが出てきたら、本格的にキャンプ行きたい病だわ。』
『それにしても、"ふもとっぱら"って聞くと、"ふともも"と"腹"を思い出すのは私だけ?私だけ?私だけ?』
シンデレラは、こんな感じのネタを言う芸人の名前を思い出そうとしばらく考えました。
そうだ、"だいたひかる"だ。"レッドカーペット"だ。と閃いたその時。
継母『シンデレラ〜!。シンデレラ〜!。どこにいるの!!』
『今すぐいらっしゃい。』
『LOGOSのクイックシステムシリーズの設営よりも速くいらっしゃい!』
『来ないと、クイックシステムで、指を挟むわよ〜。』
シンデレラ『は〜い!今すぐ行きます。』
『サイトのチェックイン14時からなのに、勢い余って12時に到着するくらい早く行きま〜す!』
やれやれ。人使いの荒い継母だと、シンデレラはため息をつきながら継母の元へ行きました。
継母『シンデレラ、今度の、王子様主催のグルキャン※に着ていくアウターの準備はしてくれたんでしょうね。』
※グループキャンプの事だが、ここでは舞踏会と同義。
『今度のグルキャンは、王子様に姉さん達を見初めてもらうチャンスなんだから。』
シンデレラ『そのグルキャン、私も行っても・・・。』
継母『ダメに決まってるじゃないの。遊びじゃないの。』
『女子キャンばかりやって、嫁に行かないアラサーの姉さん達にとって、最後のチャンスなのよ。』
シンデレラはグルキャンに行きたくて仕方なかったものの、着ていく服もなければ、グルキャンで話題にできる新作ギアもなかったのです。
そして、グルキャンの当日。
継母と、2人の姉は新型ジムニーに乗り込み、キャンプ場へと出かけて行きました。
一人、取り残されたシンデレラ。
キャンプ道具の手入れをしながら、深いため息をつきました。
『ふぅ〜。』
吐いた息がペグに着いた泥を落とすと、ペグが光り輝き、その光の中から魔法使いのおばあさんが現れました。
魔法使い『どうしたんだい。そんなに深いため息をついて。』
『思ったよりも自動で膨らまなかったインフレーターマットでも膨らますつもりかい?』
シンデレラ『違うわ!』
『そして、車中泊用のインフレーターマットと、キャンプ用の物と、どちらがいいのか悩んでるわけでもないわ。』
『実は・・・、私も王子様主催のグルキャンに行きたいのに、着ていくオシャレな服もなければ、話題にできる様なギアを持ってないの。』
魔法使い『まぁ、可哀想に・・・。』
『そんな可哀想なシンデレラに、私が魔法をかけてあげましょう。』
魔法使いは
魔法の言葉を唱えました。
『タラスブルバ、サウスフィールド、ビジョンピークス』
『ハイランダー!!!』
すると、シンデレラの身体が光に包まれたのです。
つづく➡