キャンプ世界の童話 大きなカブ③
大きなペグ③
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そこに現れたのは、おばあさんでした。
テントの中で孫と遊んでいたおばあさんが、おじいさんの背後で仁王立ちしていました。
おばあさん『ジジイ!袴田、袴田って、うるさいわ!』
『ペグを抜くのにいつまでかかってるんじゃ!』
『ペグなんて、こうすりゃ抜けるじゃろ!』
おばあさんは、そう言うと、刺さっているペグに向かって、もう一本のペグをハンマーで突き刺していきました。
そして、刺したペグを持ってグリグリと回し始めました。
おばあさん『これがアルキメデス直伝のテコの原理じゃ〜。』
すると、ペグは徐々に姿を表し出しました。
おばあさん『ほれ、ここまで見えたら、後はこうじゃ!』
『ほりゃっ!ドラゴンスクリュー!!!』
そう言うと、おばあさんは後から刺した方のペグを持って跳び上がり、空中で華麗に横回転しました。
刺さっていたペグは、おばあさんの横回転により見事抜けました。
キャンパー①『あの技は!間違いない!伝説のペグ抜き三大奥義の一つ、ドラゴンスクリューだ!』
キャンパー②『なぜ、こんなおばあさんが伝説の奥義を?!!』
おばあさん『ほれ、抜けたぞ。』
おじいさん『ばあさんが、なぜそんな技を・・・?』
おばあさん『実は・・・。ワシは、おじいさんと出会う前に、数年間、キャンプの修行で山寺にこもっていたんじゃ。』
『この技は、そのときにお師匠さんから伝えられたものじゃ。』
おじいさん『そんな・・・。ばあさんに、そんな過去があったなんて・・・。』
おばあさん『黙っていて悪かったよ。おじいさんはインドア派で、キャンプなんて嫌いなのかと思ってたんじゃ。』
『でも、おじいさんがキャンプを好きになってくれるんなら、これからは、二人でキャンプに行くことにしようかの?』
おじいさん『そうじゃな。本物のベテランキャンパーと一緒なら楽しそうじゃ。』
『色んな奥義も見てみたいし。』
キャンパー①『師匠!是非とも、今の技をご教授ください!』
キャンパー②『いや、私にこそ、お教えください。私は年間20泊もしている・・・。』
おばあさん『うるさいわ!』
『この技は一子相伝。息子か孫に教えるつもりじゃ。』
おじいさん『こりゃ、これからの人生も楽しくなりそうだわい!』
おわり